擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

2012-01-01から1年間の記事一覧

予め妥協が予定された改憲草案

のっけから孫引きで申し訳ないのだが、橋下徹大阪市長の著作にはこんなことが書いてあるのだという。 「交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って三通りの方法しかない。 “合法的に脅す”“利益を与える”“ひたすらお願いする”の…

アカポスとしてのホグワーツ

以下は、ハリー・ポッターについての文章である。なので、ハリポタに興味のない人が読んでもまったく面白くないであろうし、興味があってもたいして面白くないことは明言しておく。 さて、問題はダンブルドア校長である。偉大な魔法使いとして名高いダンブル…

捏造された「無関心」

浦沢直樹/画・勝鹿北星/作のマンガ『MASTERキートン』に、「無関心な死体」というエピソードがある(以下、ネタバレ)。 冒頭、一人の青年がロンドンの路上で死亡する。この件を取り上げた女性ニュースキャスターは、青年が不良グループに襲われて頭を強打…

ガッサン・ハージ『希望の分配メカニズム』

ガッサン・ハージ、塩原良和訳(2003=2008)『希望の分配メカニズム パラノイア・ナショナリズム批判』(お茶の水書房)という本を読んでいる。基本的にはオーストラリア社会についての分析なのだが、読んでいると今の日本社会の状況との類似に驚く。以下で…

卒業式にて

まずはご卒業おめでとうございます。 みなさんもご存知の通り、昨年の卒業式は震災の影響で中止でした。なので、今年は二年ぶりの卒業式ということになります。そこで、やはり震災について少しお話しておこうかと思います。 去年、震災があって、交通網も混…

業績/責任のありか その2

前回は「社会のおかげ」と「本人のおかげ」のバランスをとることが難しいという話をした。でも、それは何故なんだろう?それを語るために、唐突に話を変えてみる。 世の中には様々な問題がある。政治家や官僚はなぜそんな問題が起きるのか、どうやったらそれ…

業績/責任のありか その1

今から20年近く前の話。その日、僕は成人式に出席するため、地元に戻っていた。成人式自体は可もなく不可もなく終わり、中学時代の知人と会場の外に出た。 会場の外には再会を懐かしむ声の渦。僕も旧交を温めていたが、なかには楽しくない再会もある。昔か…

愛国者は現代日本人がお嫌い?

(昔のツイートのサルベージ) 愛国心が旺盛な人は、目の前に存在する自国民に往々にして憤慨する。なんでこんなにモラルが低くて、公共性に欠けていて、反日思想に毒されているのか、と。 このような「日本は大好きなんだが、実際に日本列島に暮らしている…

リフレ派は苦難を語れ

日本の偉い人たちのあいだには、どうも妙な考えが蔓延しているのではないかと思うときがある。 それは「今の日本を立て直すためには、いちどみんなで貧しくならねばならない」という発想だ。どうも、そんな気がする。 その発想の基盤になっているのは、言う…