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擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

メディア・リテラシーなるもの

ぼくは大学でメディアについて教えている。 メディアに関して学生の書いたものを読むと、かなりの割合で「メディア・リテラシーを身につけることが必要である」とか「マスメディアを鵜呑みにしてはいけない」という結論に至っている。まるで誰かがフォーマッ…

スマホとどう付き合うか

ぼくはネットが好きだ。 ネットで話題になっている文章にはだいたい目を通すし、ネットで誰かが喧嘩をしていればそれをいそいそと見物に行く。ぼくはメディアの研究者ということになっているので(専門はマスメディアだけど)、いちおうはフィールドワーク?…

言葉のブーメランが返ってくるとき

ネット上ではやたらと攻撃的なひとが少なくない。 とにかく他者や他集団に対して攻撃的な書き込みをする。それも一つの芸風だと言ってしまえばそこまでだが、そういうひとは防御力が弱くなることも多い。 というのも、誰かを攻撃するためには何らかの理由が…

犯罪報道の二つの方向性

多摩川沿いで中学生が殺害されるという痛ましい事件が起きた。 事件の詳細についてはまだ部外者が何も語れる段階にはない。にもかかわらず、すでに少年法の改正を求める声が上がっている。容疑者が未成年である場合に氏名などの報道を禁じている規定の改正が…

「正しい情報」は伝わるのか

「どちらでもない層」を説得する 先日、NHK国際放送とは別に「日本の立場を正確に発信する」放送局の創設を自民党が検討しているという報道がなされた。 自民党は14日、国際情報検討委員会(原田義昭委員長)などの合同会議を党本部で開き、慰安婦問題や南…

「リベラル」って誰のこと?

ネットではよく「戦後リベラルは…」といった物言いを目にする。そこで言及される「戦後リベラル」というのは大抵頭の悪そうな主張をしていて、柔軟性に欠ける一方、平気でダブルスタンダードを行使する卑劣な輩であったりする。 こういう物言いが気になるの…

批判の流儀

先日、都議会での野次問題に関連して、注目を集めたエントリがある。どこかの大学の教員が授業の枕として話した内容の概要だという。 思慮深いみなさんの事ですから間違える事は無いと思いますが、念のために助言しておきます。この件でネット上で当事者を批…

「話せばわかる」という欺瞞

ぼくが電話回線を使ってネットに初めて接続したのは、いまからもう20年近く前の話だ。日本でインターネットの商業利用が開始されてからまだ数年しか経っておらず、当時のぼくにとってネットはそれほど面白いものではなかった。 むしろ、ネットに接続するつい…

分析概念の暴力

ぼくが嫌いな言葉の一つに「御用学者」がある。 言うまでもなく、震災後に急速に使われるようになった言葉だ。その意味は、電力会社から研究費を受け取っているがゆえに原発の安全性ばかりを言い立てる研究者ということになるだろう。 もっとも、実際の用途…

グリーン車のツイートはなぜ炎上したか

新年早々、さっそくネットでは炎上事件が起きた。もう沈静化しているとは思うのだが、あえて蒸し返してみたいこの話題。そう、大規模な遅延が発生した新幹線ではグリーン車の空席をお年寄りや子ども連れに解放すべきだというツイートをめぐる炎上事件だ[1]。…

今年を振り返る

さて、今年もいよいよ終わりである。 去年から始めたこのブログ。去年の投稿数が9本だったのに対して、今年はこれまでで86本。なんでこんなことになったのかと言えば、在外研究に出たおかげで時間的に余裕ができたからでもある。なので、帰国したらこうはい…

マスコミに騙される日本人?

ロンドンで迎える初めてのクリスマス。だがあいにくの嵐で外出する気にもならない。というわけで、先日の「第三者効果」に関するツイートのまとめ(+加筆修正)だ。 第三者効果とは何か マスメディアの第三者効果仮説については以前から時々ツイートしてい…

批判の流儀

ネット上では誰かを批判したり罵倒したり揶揄したりということが盛んに行われている。他人の考え方が気に食わないのか、間違いを正したいのか、それとも単に相手よりも自分のほうが知的に優れていることをアピールしたいのか…。その理由はともかく、誰かを批…

直接性の願望

ネットは便利だ。 何か知りたいことがあればググればいいし、誰かとつながりたければSNSを使えばいい。その気になれば地球の裏側で起きているニュースも知ることができるし、見ず知らずの人にメッセージを投げることもできる。 だが、ネットを使うほどに、あ…

失礼なコミュニケーションへの憧れ

文化的親密圏とは何ぞや? 文化人類学者のマイケル・ヘルツフェルドは、『文化的親密圏』という著作のなかで次のようなエピソードを紹介している(1)。 2000年代のタイ、バンコクでは「アジアのシャンゼリゼ通り」を実現するべく、古い街路の再開発が進めら…

「繊細チンピラ」考

先日、このサイトで「繊細チンピラ」という言葉が用いられ、またたく間にネットの流行語になった。たとえば、このエントリやこの話に対して、さっそく「繊細チンピラ」という言葉が用いられている。正直、あまり感心しない表現ではあるが、以下ではこの言葉…

何が差別語であるかを決めるのか

今朝のメトロの一面は差別表現に関する記事だった。 イギリスのキャメロン首相が、サッカーチームのTottenham Hotspurのサポーターは”Yids”という言葉を使っても良いのではないかとコメントしたという内容だ。”Yids”というのは、ユダヤ人のことを指すが、発…

とりあえず釣られてみれば?

この二つのエントリ。ネットで釣られたら負けです 偏見→追記あります ぼくなりに対立点を単純化すると、「ネットの文章は釣りかどうか疑いながら読め」という主張と、「釣りかどうかの判定なんて、その人の偏見でしかない」というもの。 最初に言っておくと…

ネットが悪い? ユーザーが悪い?

アイスクリームケース事件に端を発した、今回の炎上騒ぎ。ネットでは様々な議論が展開された。 「うちらの世界」「低学歴の世界」が語られるとともに、学歴は関係なく単に非常識な人が問題だという指摘や、ネット以前からいた非常識な人や自警団的な人が可視…

ネットで炎上しないために

一時は沈静化していたようにも思うのですが、最近になってまたネットの炎上が相次いでいます。そこで、以前、学生に配布するために作ったマニュアルの簡易版をアップすることにします。2年ぐらい前に作ったものなので、内容的には古くなっている部分もありま…

ネット内における文化摩擦

ここ数日、コンビニや飲食店がらみで頻発するネット炎上に端を発して、学歴論やネット論などがさまざまに展開されている。 昨今の炎上では、ツイッターやフェイスブックなどの写真が掲示板に投下され、それで一気に話が拡大するというケースが多い。なんで、…

批判と陰謀論のあいだ

陰謀論とは何か。簡単に言えば「世の中を陰で操っている組織が存在している」という主張だ。こう書くと極端な妄想のようにも聞こえるが、ネット内にはライトな陰謀論からヘビーな陰謀論まで数多く存在している。 たとえば、「在日コリアンは電通を通じて日本…

英語を話したくなくなるとき

(ツイートのまとめ+加筆) 英会話というのは、机の上の勉強というよりも、スポーツに近い部分がある。いくら理屈を勉強したところで、実際に繰り返し何度もやらないと上手くならないからだ。 ところが、とりわけ学校という空間のなかでは、英会話とスポー…

相互理解の限界

今朝、ツイッターで「弱者に寄り添え、被害者に寄り添え、といった言葉はぼくは大嫌いだ。完全に寄り添うことなんてどうせできない、ひとの想像力にはどうしたって限界があるんだから」という東浩紀さんのツイートがRTされてきた。 これを読んで思い出したの…

「批判」と「私刑」のあいだ

ブログを炎上させた岩手県議が自殺した。この件で、ネット上では大きな騒ぎになっている。 実際には、果たしてブログの炎上が直接的な動機だったのかはもう誰にも分からない。ただ、少なくとも間接的な原因になった可能性は高いだろう。 この件に関して、す…

コミュニティの幻影

ぼくが大学生のときの話だ。 サークルの練習を終えて大勢で帰宅している途中、同期の一人がいかにも深刻そうな顔をして歩いていた。「どうしようかな…」などとつぶやいている。 そこで、ぼくは尋ねた。「どうした?」 すると、その彼は烈火のごとく怒りだし…

ツイッター・トリクルダウン

(ツイートからのサルベージ+α) フォロワーの少ないぼくみたいなアカウントのツイートでも、ごく稀にRTの連鎖が起きることがある(たいした数じゃないけど)。その流れは、だいたい以下のようになる。 ぼくがツイート→ぼくをフォローしているフォロワー多…

ヘイトスピーチに寛容な言説空間の誕生

―長いので要約― (1)「表現の自由」を維持するためには、社会を構成する一人ひとりが不快な表現に耐えることが必要だが、生存を脅かすような表現を向けられている人たちにまでそれを要求することはできない。 (2)ネット上での「多数派」の形成は歪さが…