擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「話せばわかる」という欺瞞

ぼくが電話回線を使ってネットに初めて接続したのは、いまからもう20年近く前の話だ。日本でインターネットの商業利用が開始されてからまだ数年しか経っておらず、当時のぼくにとってネットはそれほど面白いものではなかった。 むしろ、ネットに接続するつい…

研究者にとっての運、または偶然の出会いについて

佐々木倫子さんのマンガ『動物のお医者さん』には、菱沼さんという女性が登場する。 手元にないので記憶に頼って書くが、彼女は実用的な細菌を発見するのに長けており、発見が商品化されたこともあるのだという。そのために彼女をライバル視する大学院生もい…

分析概念の暴力

ぼくが嫌いな言葉の一つに「御用学者」がある。 言うまでもなく、震災後に急速に使われるようになった言葉だ。その意味は、電力会社から研究費を受け取っているがゆえに原発の安全性ばかりを言い立てる研究者ということになるだろう。 もっとも、実際の用途…

マイルドヤンキーの近代化

1950年代から60年代にかけて、米国の社会科学では近代化論なるものが隆盛を誇っていた。 当時、植民地支配から次々と独立を遂げていった国々をいかにすれば欧米のような近代国家へと成長させることができるのかが近代化論のテーマだった。もちろん、その背後…