擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「ドロドロしたもの」の政治学

かつて田中角栄は「政治は欲望の分配」と述べたのだという。 政治家には様々な人びとが利権を求めて群がる。それをどう調整し、多くの人びとを満足させるかに政治家の手腕はかかっているというわけだ。利益の調整を得意とした田中らしい言葉だと言える。 も…

『原発ホワイトアウト』

先日、日本から届いた若杉洌『原発ホワイトアウト』(講談社、2013)を読み終えた。現役のキャリア官僚が原発をめぐる政財官の癒着を告発した小説、ということで話題になった。以下はネタバレである。 読後感はよろしくない。原発を早急に再稼働させようとす…

ユダヤ人差別とリップマンの間違い

20世紀のアメリカを代表するジャーナリスト、ウォルター・リップマンはユダヤ系の出自だった。 だが、彼はアメリカのエスタブリッシュメントに加わることに力を注ぎ、自らがユダヤ系の生まれであることにこだわりは見せなかった。むろん、それは個人の生き方…

『反コミュニケーション』

藤子・F・不二雄の短編マンガに「テレパ椎」という作品がある。 記憶に頼って書くと、この作品の主人公は「それを持っていると他人が何を考えているのかが全てわかる木の実」を拾う。そのため、他人が遠慮して言わないものの心のなかで考えていることが読め…

脱成長と団塊ジュニアの『三丁目の夕日』

時期を逸した話題ではあるが、都知事選に対して細川護煕候補が「脱成長」なるスローガンを掲げて話題になったことがあった。 ネット上ではかなり批判があったが、とりわけ40代以下の世代はあれを見てガックリした人が少なくなかったのではないだろうか。「脱…

ジャーナリズムの精神

NHKの問題をはじめとして、メディアやジャーナリズムのあり方が改めて問われている。ぼく自身はジャーナリストであったことはないし、偉そうに何かを言う資格もない。そこで、20世紀を代表する米国人ジャーナリストであるウォルター・リップマンに登場を願う…

日本の自画像

平和国家としての自画像 主語の大きな話には気をつけなくてはならない。 大した根拠もなく「日本人はこうだ」とか「中国人はああだ」などと語るのは、ほとんどの場合、ステレオタイプの反映にすぎない。日本には1億2千万人以上の人がいるし、中国に至っては1…