擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

申し訳ありませんでした。

 先日アップしたエントリに重大なミスが含まれていたので削除した。偏見を助長するようなエントリを書いてしまったことを痛烈に反省している。本当に申し訳ありませんでした。

 問題があったのは以下の部分だ。

2012年度の犯罪白書によれば、2011年の一般刑法犯検挙件数は46万2873件、うち外国人の検挙件数は2万401件。割合にすれば4.4%となる。また、一般刑法犯検挙人員で言えば、総数30万5,951人のうち外国人は1万981人。割合にすると3.6%だ。ましてや、永住外国人の犯罪ともなれば、その割合は半分以下になる。つまり、日本での犯罪の圧倒的多数は日本人の手によるものだ。

日本の日本人と外国人(3ヶ月以上在住)を合わせた総数は1億2837万人で、うち外国人は198万人。割合にすると1.5%だ。上で紹介した数字と比較すれば、確かに日本人よりも在日外国人のほうが犯罪に手を染める可能性は高いと言える。もちろん、日常生活では無視できる確率だ。大事なことなので繰り返し言うが、圧倒的大多数の外国人は犯罪者ではない。しかし、それでも「絶対数は少なくとも、犯罪に外国人が手を染める可能性は日本人よりも高く、問題である」と強弁してくる人がいるかもしれない。

 この下線の部分が間違いである。「言える」という根拠がない。というのも、上の「犯罪白書」で書かれている「外国人」は旅行者のような短期滞在者も含んだ数だ。他方で、下の「外国人」は3ヶ月以上滞在の人たち。したがって、そもそも上と下の数字は比較すべきものではないのだ。自分で「3ヶ月以上在住」と但し書きを付けておきながら、その部分を精査することを失念してしまっていた。

 改めて精査し直す必要があると思ったのだが、そもそも適切に比較ができる数字が見当たらない。

 「犯罪白書」によると「来日外国人」とは「警察庁の統計の定義により,我が国にいる外国人のうち,いわゆる定着居住者(永住権を有する者等),在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の者」を指す。したがって、短期の旅行者などはこのカテゴリーに含まれるわけで、その総数はかなり多い。この総数を使って比較しても、ほとんど意味がない。

 それでは、「犯罪白書」で使われているもう一つのカテゴリーである「その他の外国人」、つまり「いわゆる定着居住者(永住権を有する者等),在日米軍関係者及び在留資格不明の者」はどうか。このカテゴリーで2011年に検挙されたのは5092人になっている。しかし、このカテゴリーに含まれる人たちの総数が分からないので、パーセンテージを出すことはできない。

 ぼくは犯罪統計の専門家ではないので、ここでお手上げである。それでも「日本で起きる犯罪の圧倒的多数は日本人の手によるもの」という部分は揺るがないとは思うが、異なるカテゴリーの数字を安直に比較することの怖さを改めて痛感した。

 いずれにせよ、検討不足の数字を出してしまい、申し訳ありませんでした。