擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

保育園不足問題は「超政治化」できるか?

anond.hatelabo.jp このエントリが話題である。 はてなの「アノニマス・ダイアリー」(通称、増田)のエントリがここまで話題になるというのは、長年のはてなユーザーからすればある種の感動を禁じ得ない。だって、あの増田ですよ?通勤途中にう○こ漏らした…

「意識高い系」はなぜ批判されるのか

こういうブログを読んだ。www.jimpei.net これに関するブックマークコメントを見ると、「意識高い系が批判されるのは、実力もないくせに他人を見下して馬鹿にするからだ」という趣旨のものが多い。要するに、「意識高い系」とされる人たちも、それを批判する…

「ダブルシンク」としてのミサイル報道

イギリス人作家、ジョージ・オーウェルの『1984年』は、全体主義国家による徹底した管理を描いたディストピア小説としてよく知られている。 この小説に登場する全体主義国家では、「ダブルシンク(二重思考)」と呼ばれる思想統制方法が用いられている。それ…

ぼくの良識

自分で言うのも何なのだが、ネット上でのぼくはわりと良識的なのではないかと思う。 ツイッターやブログでも攻撃的だったり差別的だったりすることはなるべく書かないようにしているし、ぼくが書いたものを読んで傷つく人がいなければいいなとも思っている。…

「命の軽さ」が与えてくれるもの

ずっと以前、「人口の多い中国では、命の重さが日本とは違う」という趣旨の文章を読んだことがある。いまでもネットで検索すれば、そういう文章をすぐに見つけることができる。 しかし、本当にそうなのだろうか、とも思う。子どもを喪った中国人の父母は「じ…

ヒロインはなぜ清楚系か

(ツイートのまとめ) 実家に帰省中、奥さんが本を持ってくるのを忘れたので、ぼくが持っていた小説を貸した。すると、次のような質問がやってきた。 「どうして貴方が愛読する小説の主人公はいつもうじうじ苦悩していて、ヒロインは決まって黒髪の清楚系で…

「政治の季節」の過ごし方【追記あり】

【注】趣旨がうまく伝わっていない箇所と誤った箇所とがあったため、追記しました(2015/8/7) 「事実」による印象操作 『朝日新聞』の富永格特別編集委員のツイートが炎上した。NHKなどのメディアでも報道され、富永氏はツイートを削除している。 朝日新聞…

安保法制について

以下は、安全保障論にも憲法論にも全く素人の戯言である。 現政権は安保法制がどうしても必要だという。 その理由はいまいち明快に語られないのだが、おそらくは中国の領海拡張路線に対する強い警戒感があるのだろうと思う。しかし、それを国会などの場で明…

人生の選択

森見登美彦さんの『四畳半神話大系』をひさびさに再読した。 主人公の大学生が入学直後にどのような人間関係に身を置くかでその後のキャンパスライフに生じる違いを描いた作品だ。ううむ、この説明だとこの作品を実際に読んだ人にしか伝わらないかもしれない…

憐れみが人を殺すとき

どうにも整理のつかない話というものがある。 先日、ネットを見ていると、高齢の男性が長年連れ添った伴侶を殺害したという事件の記事がアクセスを集めていた。少し長いが、記事を引用してみたい。 93歳の夫が体の痛みを訴えていた妻に頼まれて殺害したと…

根拠なき自信も悪くない

根拠のない自信を持っているひとはバカにされやすい。 典型的なのは、いわゆる「意識高い系」だ。仕事ができないくせになぜか根拠のない自信だけはあり、周囲に多大な迷惑をかけまくる、というのが典型的な意識高い系のイメージではないかと思う。普段は大口…

大阪を蝕むシニシズム

「既得権」をめぐる報道 時期を逸してしまったが、大阪都構想に関する話だ。 といっても、都構想の賛否について論じたいわけではない。その賛否に関する報道や文章にはそれなりに目を通しているものの、賛成や反対を明確に論じられるほどの知識があるわけで…

努力を「語る」流儀

学歴の話はなぜ荒れるのか 学歴というのはとても荒れやすいテーマだ。 ほとんどの人が学校教育を経て成人する現代社会において、それはやむを得ない部分もある。それぞれに様々な経験があり、それらから導き出された何かしらの考えがある。自分と違う意見を…

伊織とアスカ

40歳をとう過ぎたオッサンがこんな話をブログに書くというのはいかがなものだろうか。そう悩みつつも書かずにはいられない。それが今回のエントリである。 『ココロコネクト』というアニメがある。原作はライトノベルでアニメは2012年7月から9月にかけて放送…

メディア・リテラシーなるもの

ぼくは大学でメディアについて教えている。 メディアに関して学生の書いたものを読むと、かなりの割合で「メディア・リテラシーを身につけることが必要である」とか「マスメディアを鵜呑みにしてはいけない」という結論に至っている。まるで誰かがフォーマッ…

スマホとどう付き合うか

ぼくはネットが好きだ。 ネットで話題になっている文章にはだいたい目を通すし、ネットで誰かが喧嘩をしていればそれをいそいそと見物に行く。ぼくはメディアの研究者ということになっているので(専門はマスメディアだけど)、いちおうはフィールドワーク?…

言葉のブーメランが返ってくるとき

ネット上ではやたらと攻撃的なひとが少なくない。 とにかく他者や他集団に対して攻撃的な書き込みをする。それも一つの芸風だと言ってしまえばそこまでだが、そういうひとは防御力が弱くなることも多い。 というのも、誰かを攻撃するためには何らかの理由が…

犯罪報道の二つの方向性

多摩川沿いで中学生が殺害されるという痛ましい事件が起きた。 事件の詳細についてはまだ部外者が何も語れる段階にはない。にもかかわらず、すでに少年法の改正を求める声が上がっている。容疑者が未成年である場合に氏名などの報道を禁じている規定の改正が…

移民の受け入れと異文化の共生

アパルトヘイトとエスニック・コミュニティ 『産経新聞』に曽野綾子氏が掲載したコラムをめぐって、大きな騒ぎが起きている。曽野氏がアパルトヘイト肯定とも解釈できる主張を行なったからだ。 本人は誤解だとしているようだが、このコラムは高齢者介護のた…

紛争地域の報道とメディアの責任

人質事件に端を発し、紛争地域での取材活動が大きな問題となっている。 1月26日には『朝日新聞』のイスタンブール支局長がシリアのアレッポに入り、2月1日には現地からの記事が同紙に掲載された。『毎日新聞』は1月31日にその事実を報じ、『読売新聞』や『産…

二つの自己責任論(再録)

(以前(2013年9月)に書いたエントリですが、時期に適ったテーマである気がするので再録します。ただし文末に追記があります。) 日本では自動車に乗るさい、シートベルトの着用を義務づけられている。近年では後部座席に座るさいにも義務づけられるように…

「正しい情報」は伝わるのか

「どちらでもない層」を説得する 先日、NHK国際放送とは別に「日本の立場を正確に発信する」放送局の創設を自民党が検討しているという報道がなされた。 自民党は14日、国際情報検討委員会(原田義昭委員長)などの合同会議を党本部で開き、慰安婦問題や南…

『リベラル・ナショナリズムと多文化主義』紹介

以前、このブログで「リベラル・ナショナリズム」について取り上げたことがある(参照)。矛盾する思想と見なされることの多いリベラリズムとナショナリズムとを組み合わせ、それを肯定しようとする立場の議論だ。 このリベラル・ナショナリズムの思想をより…

「表現の自由」の終焉?

「表現の自由」=「強者だけの自由」? フランスでの新聞社襲撃に端を発する一連のテロ事件。「表現の自由」を脅かす深刻な事態であることは明らかであり、襲撃犯が厳しく罪に問われるべきことは言うまでもない。 その一方で、日本語でのツイートを見ている…

「リベラル」って誰のこと?

ネットではよく「戦後リベラルは…」といった物言いを目にする。そこで言及される「戦後リベラル」というのは大抵頭の悪そうな主張をしていて、柔軟性に欠ける一方、平気でダブルスタンダードを行使する卑劣な輩であったりする。 こういう物言いが気になるの…

領域侵犯のモラル

著名な社会学者である大澤真幸さんの文章が、多くの人によって批判されている。 大澤さんがどれぐらい有名な社会学者かと言えば、人気アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』でその言葉が登場人物に引用されるほどなのである。これを書きながら、ぼくの論…

牛丼福祉論再訪

ちょうど去年のいまごろ「牛丼は福祉か」という話題が盛り上がったことがあった。そのきっかけになったのが、若手論客である古市憲寿さんが対談で語った次のような言葉だ。 【古市】なるほど、すき家はいいですよね。牛丼やファストフードのチェーンは、じつ…

ネットでのヘイトスピーチに関する取材手法について

在日コリアンの方々に罵詈雑言を投げつけていた男性に関する記事が話題になっている。これだ(記事タイトルを一部改変)。 ネットでヘイトスピーチを垂れ流し続ける中年ネトウヨの正体【前編】 ネットでヘイトスピーチを垂れ流し続ける中年ネトウヨの正体【…

マスメディア批判の中心

マスメディアの報道は昔から繰り返し批判されてきた。 誤報、事実の歪曲、閉鎖的な記者クラブ、政府の発表をただ流すだけの発表ジャーナリズム、センセーショナリズム、取材対象との癒着、他社よりも少し早いだけの無意味なスクープ合戦、調査報道の欠如など…

「気持ちよさ」の代償

『毎日』と『産経』のすれ違い 先日、『毎日新聞』に「『気持ちいい』は気味悪い」というコラムが掲載された。『産経新聞』を読むと気持ちが良いという声に疑問を呈する内容だ。自分と同じような意見だけを読んでいければ確かに気持ちが良いかもしれない。し…