擬似環境の向こう側

(旧brighthelmerの日記) 学問や政治、コミュニケーションに関する思いつきを記録しているブログです。堅苦しい話が苦手な人には雑想カテゴリーの記事がおすすめです。

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

二つの自己責任論(追記あり)

日本では自動車に乗るさい、シートベルトの着用を義務づけられている。近年では後部座席に座るさいにも義務づけられるようになった。 考え方によっては、これは非常にお節介な話である。シートベルトをするかしないかというのは基本的に個人の選択の問題であ…

カテゴリーの政治

階級政治の終焉 人間というのは、いろいろなカテゴリーをつくる。民族、人種、身分、階級、ジェンダー、エトセトラエトセトラ。そして、このカテゴリーは政治を動かすうえで重要な役割を果たしてきた。身分制度に基づいて統治をしたり、民族ごとに国家を作っ…

「繊細チンピラ」考

先日、このサイトで「繊細チンピラ」という言葉が用いられ、またたく間にネットの流行語になった。たとえば、このエントリやこの話に対して、さっそく「繊細チンピラ」という言葉が用いられている。正直、あまり感心しない表現ではあるが、以下ではこの言葉…

何が差別語であるかを決めるのか

今朝のメトロの一面は差別表現に関する記事だった。 イギリスのキャメロン首相が、サッカーチームのTottenham Hotspurのサポーターは”Yids”という言葉を使っても良いのではないかとコメントしたという内容だ。”Yids”というのは、ユダヤ人のことを指すが、発…

ヘイトスピーチに寛容な言説空間の誕生(加筆)

(5月のエントリに補足をしたので再投稿) 長いので要約 ① 「表現の自由」を維持するためには、社会を構成する一人ひとりが不快な表現に耐えることが必要だが、生存を脅かすような表現を向けられている人たちにまでそれを要求することはできない。② ネット…

「階級小説」としてのハリー・ポッター

小説や映画もずっと前に完結したハリー・ポッターについて、なんで今さら書くのか。はっきり言って特に理由はない。あえて言えば、今日読んでた論文に“scrounger”という単語が出てきて、「ああ、これハリポタでも出てきたなあ」と思いだしたというのが最大の…

「日本が嫌いなら日本から出て行け」の背後にあるもの

「社会で通用しない」の「社会」とは 以前、大学の同期と飲んでいたときの話。 外資系の企業に転職したばかりの奴の話をみんなで聞いていた。社内での立ち振舞いや給料の査定の話など、なかなかにシビアだ。大学のような浮世離れしたところで勤めているぼく…

1964年のオリンピック

(ツイートに加筆) 言わないと誰も気づかないかもしれないのでいちおう言っておくと、タイトルは村上春樹『1973年のピンボール』からのパクリだ。ちょっとしか合ってねえ。 さて、2020年に東京でオリンピックが開催されることになった。まあ、やることが決…

飲み会と盛り上がり

ずっと昔、ぼくがまだ大学生だったころの話。 ぼくは、あるサークルに入っていた。居心地は良かった。女の子も多く、中学や高校時代には失われていた青春を取りもどしたかのような感覚すらあった。付き合っていたわけではなかったが、初めて女の子と二人で喫…

自由な監視社会

前回のエントリでは「監視社会」について述べた。 ただ、監視社会というと、イコール自由のない社会だと解釈されてしまうことがありうるので、やや意味が強すぎるようにも思う。実際には、監視社会=自由のない社会、ではない。 この点を理解するうえで、前…

炎上と監視社会

9月になり、多くの学校では夏休みが終わった。 この夏を振り返ると、なんというかブログの炎上が多かった。学生が学校に戻り、下らない写真をアップする暇もなくなれば炎上も減っていくかもしれない。 それは措くとして、すでに数多く指摘されているように…